あおんの爆走兄弟レッツ&ゴー!!GoGo烈兄貴!/ TOP/GIRL/
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GIRL Official


〜I, Looking foward to the moment〜

 BY:JUNINHO

 非公開でいただいたお便りの中にあったものです。読んで『かっこいいぜ〜っ! くう〜っ!』と悶絶涙ぐみ状態(^^;)になったので、『その場の勢いで書いたから、メカの描写が割といい加減なんですけど…』とおっしゃる作者のJUNINHOさんに無理矢理お願いして掲載させていただく事にしました。私はこんな最終回が良かったです。ぜひ皆様もご堪能ください(^o^)!
 当然のことながら、著作権はJUNINHOさんにあります。無断転載を禁じます。感想は、あおんがお取り次ぎします(^^)


ファイナルステージの最後の舞台、富士の湖サーキットの周回コースにトップで入ってきたのは、豪とビート・マグナムだった。
数秒遅れて、ミハエルとベルク・カイザーが入ってくる。
「捉えたぞ!行けっ!ベルク・カイザー!」
猛然とフルパワーをかけるベルク・カイザー。
しかし、天才ミハエルは、らしからぬミスを犯した。ダッシュをかけたベルク・カイザーは、富士の湖サーキットの高い縁石に乗り上げ、姿勢を崩したまま無理な体勢で着地した。
「!」
着地の瞬間、ベルク・カイザーの左リヤに無理な負荷がかかり、何かがきしむ音が聞こえた。
「しまった!スタビライザーが!」
左右のリヤのバランスを調節していたスタビライザーが破損したのだ。それでなくともバンピーな路面を小径ホイールで走り続けていたのだから、パーツの消耗の度合いは限界に近かったのだ。この状態では、ベルク・カイザーはその強大なトルクを十分に路面に伝えることが出来ない。そしてそのことを誰よりも理解していたのは他ならぬミハエル自身だった。
以前のミハエルならば、ベルク・カイザーに冷酷とも言える判断を下していたことだろう。しかし、今のミハエルには、ベルク・カイザーからのメッセージを聞き取ることが出来る。
「・・・まだだ!まだ走れる!行こう、ベルク・カイザー!」
スタビライザーを失ったベルク・カイザーは、底を擦りそうになりながらも、前に進むことをやめようとはしない。
「いいぞ、ベルク・カイザー!まだ十分に戦える!ゴールまで突っ走ろう!」

レースは最後までわからない。
豪はそのことを何度も身をもって体験していた。
時には勝利し、時には苦い敗北を味わい・・・。
ミハエルのベルク・カイザーにトラブルがあったことは豪も気が付いていた。これで自分に追いつけるマシンはない、そう思っても不思議ではなかった。実際、ビート・マグナムはまだフルパワーで走っているわけではない。ここでフル・ブーストをかければ、ゴールまであと二周、トップのままゴールできる。
・・・いや、まだだ。
トップを走っているのに、豪はいつになく冷静だった。
・・・まだ、「来ていない」。
きっと・・・イヤ、必ず来るはずだ。
「おまえとは、かなりタイム差が付いている。でも、必ず追いついてみせる。」
レースが始まる時に、そう言っていた。
どうした・・・?
まだ来ないのか?

その時、微かな電子音。
そして聞こえる、独特のくぐもるような低い過給器音。
「"PowerBooster", Countdown start. 5,4,3,2,1...GO !! 」
次の瞬間、過剰供給された圧搾空気が爆音を立てて排出される。
「Go !! BUCKBLADER !! 」
ブレットの声を待っていたかのように、バックブレーダーは加速を開始する。
それはまるで、鎖から解き放たれた黒豹のようだった。
豪とビート・マグナムの姿がホームストレート上に見える。
ブレットとバック・ブレーダーは最終コーナーにさしかかるところだ。
「I caught you,GO SEIBA !! 」

来た!
豪の耳に、甲高い独特のモーター音が聞こえる。
長い長い距離を走り、観衆の声にかき消されそうな微かな音だが、腹の底に響くような重い力強さは些かも衰えてはいない。
他の誰にも聞こえなくても、豪にだけは聞こえる。
聞こえないわけがないのだ。
この音だけは。
待っていたのだから、この音を。

ブレットとバック・ブレーダーは最終コーナーにさしかかろうとしている。
・・・おかしい?
何がだ?
プラン通りだ。
いや、あれを見ろ。
ブレットはスタンドの観衆を見た。
全ての人々の視線が、一点に集中している。
指さす者、手を振る者、拳を突き上げる者、拍手を送る者。
反応は人それぞれだが、その視線の先は皆同じだった。
だが、それは決して不思議な光景ではない。
自分は、驚異的な追い上げでここまで来た。そして今、トップのゴウ・セイバとビート・マグナムを捉えんとしている。
しかし、観衆が見ているのは自分ではない!
何だ?何を見ている?
自分ではない?
ゴウ・セイバか?
いや、後ろだ!

「行けぇ!!」
「What's !? 」
次の瞬間、最終コーナーを回ろうとしているバック・ブレーダーを、真紅のマシンがノンブレーキでかわしていく。
バック・ブレーダーのはるか外側を、コーナーアウト側の縁石に片輪を載せながら見事なドリフトで駆け抜けていく。
一見乱暴なその走行ラインだが、その軌跡はまるで光の糸を紡いだかのように流麗かつ大胆だった。
真紅のマシンは、そのままの勢いを駆って、猛然とホームストレートを駆け抜けていく。
ブレットはその後ろ姿を黙ってみているしかなかった。
パワー・ブースターを使ってしまった今、バック・ブレーダーにこれ以上のトップスピードを望むことは不可能だった。いや、戦意を喪失してしまった時点で、ブレットとバック・ブレーダーに、追いつく力は無くなってしまったのだ。
しかし、ブレットに、不思議と悔しさはなかった。
どんなコンピュータを持ってしても、あのコーナーのあのライン取りは弾き出せない。
マシンの性能を引き出してやることが、一番速く走ることだと思っていた。それは間違いではなかったが、正解ではなかったのだ。
ほんの数ミリずれただけでコースアウトしてしまうであろうあのライン取り・・・。
それに何の迷いもなくトライしてくる奴がいる。
最後に必要なのは、ほんの少しの勇気。
アストロノーツになる前に、レーサーとしての自分に、まだまだ先があることを知ったブレットだった。

このときを待っていた。
世界最高の舞台で、世界最速の座をかけて戦うこと、ずっと待ちこがれていた。
人を愛することと同じように、レース愛していることに、彼らは気が付いているだろうか。
なぜ、そんなにまでして走るのか?
生涯をかけて、勝ちたい奴がいるから。

「・・・待たせたな、豪」
烈とバスター・ソニックは、ホームストレートの終わりで、豪とビート・マグナム に並んだ。
「遅かったじゃねえか、烈兄貴!」
「へへ、ちょっと、カルロくんと、ね・・・。」
「そうか。で、まだいけるのか?」
連日の激走、そしてここまでの無理がたたって、バスター・ソニックの消耗はもはや目に見えて限界に近い。
「おまえこそ、どうなんだよ豪?」
消耗しているのは、ビート・マグナムも同じだ。ストレートスピード重視のビート・マグナムは、ダウンフォースを削っている分、コーナーでのタイヤの消耗が激しい。
「手加減はしないぞ、豪」
「言ってくれるじゃねえか。ラスト一周、ぶっちぎってやるぜ!行け、マグナム!」
豪の声に呼応して、ビート・マグナムはフルブーストをかける。
「負けるなソニック!ラストスパートだ!」
バスター・ソニックは、まるでその時を待っていたかのように、車高を落としてダウンフォースを増やし、コーナリングスピードを上げる。
一進一退。
マシンも人も、限界ぎりぎりのところで走っている。
マシンのパーツも、身体も悲鳴をあげている。
だが、この時を終わらせてしまうのが惜しかった。
ずっと、待っていたのだ。
この時を。
兄と弟。
生まれた時は違えど、同じ血を、レーサー魂を分けたもう一人の自分と、命を懸けて戦うこの時を、ずっと待っていたのだから。
二人のレーサーと、二台のマシン。
その息の詰まるようなマッチレースは、サーカスの空中ブランコを思わせる。
はたまた、ずっと昔から運命づけられた、二人だけの協奏曲・・・。
最終コーナーを先に回ったのは、烈とバスター・ソニックだった。
だが、直線スピードに勝る豪とビート・マグナムがテール・トゥ・ノーズで追いすがってくる。
「ソニック!」
「マグナム!」

歓声が二人を包み込む。
終わったのか?
いや、この世に始まりはあっても、終わりはない。
一つの終わりは、新たな始まりなのだから。
一つのレースは終わっても、それは新たなレースのスタートだ。
あいつが負けたって言わない限り、俺も走り続ける。
勝ちたい奴がいるんだ。

Nothing but Racing.
走らずにいられないから。

〜OVER.



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